ネット証券2強といわれる楽天証券とSBI証券。2024年から新しいNISA(以下、新NISA)が始まることを機に、NISA口座の金融機関を変更しようと考えている人もいるはずです。
「SBI証券のほうがポイントが貯まりそう」
「iDeCoはSBI証券でやっているから、NISAもSBIにしようかな」
「楽天モバイル事業の赤字のニュースが心配」
と考えた結果、SBI証券のNISA口座に変更したいと思った人に向けて、金融機関の変更方法を紹介します。
楽天証券が楽天モバイルの赤字額を顧客の預り資金で補填することはありませんが、ニュースやSNSなどで騒がれているのを見て、気になっている人もいるはずです。
NISA口座は年単位でしか変更できず、基本的には同じ金融機関で数十年間運用を続けることになるため、少しでも不安がある人は、本記事を参考にしてSBI証券への変更も検討しましょう。
なお、どこの金融機関でもNISA口座の変更方法は大体同じなので、楽天証券以外の金融機関から他社に乗り換えを検討している人もぜひ参考にしてください。SBI証券から楽天証券に変更する場合も“流れ”は同じです。
はじめに:SBI証券で1月から新NISAを始めるスケジュール
現在、他社のNISA口座(一般NISAもしくはつみたてNISA)を持っている人で、新NISAはSBI証券で始めようと検討している人は、2023年10月以降から変更手続きができるようになっています。
そして、SBI証券の新NISAで2024年1月から投資信託の積立買付を始めるには、11月19日(日)から積立設定ができるようになります(出所:SBI証券の2023年10月17日のプレスリリース『2024年からの新NISAでの投信積立受付開始のお知らせ』)。
1回ごとのスポット注文で株式や投資信託を買う場合は、1月になってから手動で発注すれば問題ありませんが、三井住友カードもしくはOliveフレキシブルペイを使って新NISA口座でクレカ積立をする場合は、2023年11月19日(日)~12月10日(日)に積立設定をする必要があります。
そのため、NISA口座の変更をする場合は、余裕を持って11月末までには手続きが完了するように準備をしましょう。NISA口座の金融機関の変更には、2~4週間程度かかります(時期によって異なる)。
なお、NISA口座の変更は1年単位で可能で、2024年に入ってから変更手続きをして、2月や3月から新NISAを始めることもできます。ただし、現行のNISA制度で積立買付をしている人は、何もしなければ現在の設定がそのまま引き継がれて新NISAでも買付が実行されます。
新NISAで1円でも投資をしてしまうと、その年は金融機関の変更ができなくなるので、NISA口座の変更を検討している人は、現行のNISA制度での積立設定を解除しておくか、金融機関の変更手続きを早めに済ませておきましょう。
1. 楽天証券からSBI証券にNISA口座を変更する方法
楽天証券のNISA口座(一般NISAもしくはつみたてNISA)からSBI証券にNISA口座を変更する流れは、以下の5ステップです。NISA口座を変更する方法はどこの金融機関でも大体同じなので、楽天証券以外から他社に乗り換えを検討している人も参考にしてください。
楽天証券⇒SBI証券へのNISA変更の大まかな流れ
- 楽天証券で「勘定廃止通知書」を発行する
- (SBI証券の口座を持っていなければ開設する)
- SBI証券に「NISA口座開設届出書」を請求する
- SBI証券に必要書類を返送する
- NISA口座の変更完了
楽天証券で「勘定廃止通知書」を発行する
NISA口座を変更する場合、現在NISA口座を開設している金融機関、つまり楽天証券から「勘定廃止通知書」を発行してもらう必要があります。公式サイトなどには「『勘定廃止通知書』または『非課税口座廃止通知書』」と書いてある場合がほとんどですが、用途の違いは以下のとおりです。
- 勘定廃止通知書:NISAは続けるが、来年からは別の金融機関に「変更」する。
- 非課税口座廃止通知書:NISA口座を「解約」し、口座内の銘柄を課税口座に払い出してNISAをやめる。
今回はNISA口座の変更なので、「勘定廃止通知書」を請求します。勘定廃止通知書の発行は電話でもできますが、楽天証券の場合はウェブサイトから請求することもできます。
ここでは、楽天証券でつみたてNISA口座を開設している場合で、PCサイトから書類を請求する方法を紹介します。
- 楽天証券のPCサイトにログインする
- 「つみたてNISA NISA」をクリック
- 「管理・手続き」をクリック
- 「他の金融機関へNISA口座を移す」をクリック
- 「変更」をクリック
楽天証券のPCサイトにログインしたら、上部メニューの「つみたてNISA NISA」>「管理・手続き」の順にクリックします。
「NISA・つみたてNISA口座申込」の画面が表示されるので、下のほうにスクロールしてください。そして、「NISA口座 各種手続き」の項目内の「他の金融機関へNISA口座を移す」をクリックします。
「NISA口座を開設する金融機関の変更申込」の画面が出てきたら、「変更」をクリックしましょう。なお、引っ越し後の住所変更をまだしていない方は、上の「こちら」をクリックして早めに手続きをしてください。
「金融機関変更/受付完了」と表示されたら完了です。数営業日で「勘定廃止通知書」が郵送されてきます。
(SBI証券の口座を持っていなければ開設する)
SBI証券の総合口座(株式取引などができる口座のこと)を持っていない人は、こちらのページから開設しましょう。すでに総合口座を持っている人は、「STEP3. SBI証券にNISA口座開設届出書を請求する」に進んでください。
途中で「NISAの選択」の画面が出てくるので、「つみたてNISAを申し込む(無料)」もしくは「NISAを申し込む(無料)」を選びます。新NISAは、つみたてNISAと(一般)NISAが一体になったような制度なので、どちらを選んでも変わりません。
ただし、必ず「他社から乗り換える」を選択してください。NISA口座は1人1口座しかできず、この時点ではまだ楽天証券のNISA口座を持っていることになっているためです。
なお、口座開設完了通知の受取方法を「メールで受け取る」にした場合は、口座開設完了通知のメールを受信後にNISA口座開設届出書が郵送されてきます。受取方法を「郵送で受け取る」にした場合は、「口座開設完了通知+NISA口座開設届出書」が一緒に郵送されてきます。
SBI証券に「NISA口座開設届出書」を請求する
すでにSBI証券の口座を持っている人は、SBI証券のPCサイトにログイン後、上部メニューの「NISA つみたてNISA」をクリックして、「NISA口座金融機関変更(他社でNISA口座をお持ちの方)」をクリックします。
「NISA 金融機関変更によるSBI証券への口座開設お申込み」の画面で約款に目を通したら、チェックボックスにチェックを入れます。「書類請求を申し込む」のボタンが赤に変わったら、クリックして書類を請求します。
書類の請求から到着までは5日程度かかります。「NISA口座開設届出書」が届いたら、名前を記入しましょう。
SBI証券に必要書類を返送する
次の3種類の書類が揃ったら、まとめてSBI証券に返送します。
- 勘定廃止通知書(楽天証券より)
- NISA口座開設届出書(SBI証券より)
- 本人確認書類のコピー(自分で用意)
なお、SBI証券に「マイナンバー」をまだ提出していない場合は、このタイミングでマイナンバーを確認できる個人番号記載書類(「マイナンバーカード」または「通知カード+運転免許証のコピー」)を同封して返送しましょう。
NISA口座の変更完了
SBI証券と税務署で書類の審査が完了すると、SBI証券のWEBサイトにログインしたときに表示される「重要なお知らせ」に、次のような「NISA口座開設完了」のお知らせが届きます。
時期によって異なりますが、NISA口座の金融機関の変更には2~4週間かかります。現行のNISA口座から新NISA口座への移行時期である2023年10~12月は特に申し込みが殺到する時期なので、迅速に書類のやり取りを行いましょう。
SBI証券で新NISAを始めるメリット
新NISA開始にあたり、主要ネット証券が日本株の売買手数料を無料にするなど、顧客獲得のためのサービスを強化しています。本章では、SBI証券に金融機関を変更するにあたり、他社にはない新NISAのメリットを3つ紹介します。
- クレカ積立ができるカードの種類が多い
- 貯まるポイントの種類が多い
- たくさんの米国株に投資できる
メリット①:クレカ積立ができるカードの選択肢が多い
SBI証券は、クレカ積立ができるクレジットカードの選択肢が多いのが特長です。
利用者が最も多いのが三井住友カードまたはOliveフレキシブルペイで、カードの種類によって積立額の0.5~最大5%のVポイントが付与されます。
また、SBI証券は異業種の企業と金融商品仲介業の取り組みを強化しており、東急カード、新生アプラスカード、タカシマヤカード、大丸松坂屋カード、UCSマークがついたカードでも積立買付が可能で、そのカード会社が発行するポイントを獲得できます。
メリット②:貯まるポイントの選択肢が多い
SBI証券には様々な局面でポイントが貯まる「ポイントサービス」があり、「Tポイント」「Pontaポイント」「Vポイント」「dポイント」「JALのマイル」の5種類からメインポイントを選ぶことができます。
三井住友カードまたはOliveフレキシブルペイによるクレカ積立で付与されるポイントはVポイント一択ですが、メインポイントをVポイントに設定しておけば、投資信託の月間の平均保有金額に応じてポイントが付与される「投信マイレージ」とダブルでVポイントを獲得することもできます。
ちなみに、VポイントとTポイントは2024年春に統合されることに伴い、2023年10月2日より、SBI証券で貯まったVポイントをTポイントに1P=1Pで等価交換できるようになりました。
このように、SBI証券の新NISAはクレカ積立のカードや貯まるポイントの種類が多く、選択肢が多いのが特長です。
メリット③:住信SBIネット銀行との外貨入出金サービスで入出金手数料が無料!
入出金は振込手数料無料!手続きはインターネット上の操作のみで行えます。
入金は買付余力へ即時反映されますので、外国株式や外貨建債券、外貨建MMFなど豊富な外貨建商品をすぐにお取引できます。
NISA口座の金融機関を他社に変更するときの注意点
本章では、楽天証券からSBI証券にNISA口座を変更するときに限らず、NISA口座の金融機関を他社に変更するときの注意点を3つお伝えします。
- 1円でも投資をすると変更は来年以降になる
- 金融機関の変更まで時間がかかる
- NISA口座で保有している銘柄は移管できない
注意点①:1円でも投資をすると変更は来年以降になる
NISA口座は頻繁に変更するものではないので、変更は1年ごとにしかできません。しかし、NISA枠を1円でも利用すると、10~12月に行い変更手続きを行い、翌年の1月から変更後のNISA口座で投資をすることになります。
たとえば、1月から5月までは変更前のNISA口座を利用し、6月に変更手続きをして、7月からは変更後のNISA口座で投資をすることはできません。
金融機関を変更しようと思っていたのに、NISAの積立設定が残っていて1月に積立買付が実行されてしまった、ということにならないように気をつけましょう。
注意点②:金融機関の変更まで時間がかかる
NISA(少額投資非課税制度)は、本来は売却益にかかる約20%の税金を合法的に非課税にしてくれる国の制度なので、NISA口座を開設するには税務署の審査が必要です。
そして、時期にもよりますが、NISA口座の金融機関の変更には2~4週間かかります。そのため、何月から変更後のNISA口座で投資を始めようと決めている場合は、積立設定の締切日から逆算して、余裕を持って手続きをするようにしましょう。
その際、書類に不備があると郵送で戻されて余計に時間がかかるので、ご注意ください。
注意点③:NISA口座で保有している銘柄は移管できない
NISA口座で保有している銘柄は、変更後のNISA口座に購入時の価格のまま移管(ロールオーバー)することはできません。いったん売却し、変更後のNISA口座で再び購入することもできますが、取得価格が変わってしまいます。
変更前のNISA口座でそのまま保有しても問題ありませんが、NISA口座の金融機関を変更したことにより、2つの証券会社にログインして資産管理をする必要が出てくることを懸念する人は、安易に変更しないことをおすすめします。
【補足】課税口座で保有している銘柄は他社に移管できる!
変更前のNISA口座で保有している銘柄を変更後のNISA口座に移管することはできません。しかし、課税口座(特定口座または一般口座)で保有している銘柄を他社の課税口座に移すことは可能です。
ただし、たとえば楽天証券からSBI証券に投資信託を移管すると、次の手数料が発生します(入庫手数料は無料)。
- 楽天証券からの出庫手数料:1銘柄につき3,300円(税込)
- SBI証券への入庫手数料:無料
このように、出庫手数料が発生する証券会社がほとんどです。
よくある質問
最後に、NISA口座の金融機関の変更に関するよくある質問に5つ回答します。本文と重複している内容もありますが、復習のためにお役立てください。
- Q1. 別の証券会社で新NISAを始めるには、いつから変更できますか?
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現行のNISA口座を開設している人は、2023年10月から変更手続きができるようになっています。なお、現在NISA口座を持っておらず、2024年から新NISAを始めるには、次の2つの選択肢があります。
- 11月や12月に現行のNISA口座を開設し、自動的に新NISA口座に切り替わるのを待つ
- 新NISA口座から開設する場合は、12月22日まで待つ
2.の場合、SBI証券と楽天証券ともに12月22日から新NISAだけの口座開設の申し込みが始まります。ただし、1月からクレカ積立を始める場合は積立設定が間に合わないので、11月中に現行のNISA口座の開設だけはしておくことをおすすめします。何も投資をしなくても、自動的に新NISA口座に切り替わります。
- SBI証券で2024年1月から新NISAでクレカ積立を始めるには、いつまでに設定が必要ですか?
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SBI証券で1月からクレカ積立を始めるには、2023年11月19日(日)~12月10日(日)に設定する必要があります(11月18日開始から変更になりました)。
- 楽天証券で2024年1月から新NISAでクレカ積立を始めるには、いつまでに設定が必要ですか?
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楽天証券で1月からクレカ積立を始めるには、2023年11月13日(月)~12月12日(火)に設定する必要があります。
- NISA口座の金融機関を変更すると、保有していた銘柄はどうなりますか?
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変更前のNISA口座で保有していた銘柄は、変更後のNISA口座に移管することができません。
ただし、一般NISAは購入年から5年間、つみたてNISAは購入年から20年間は変更前のNISA口座で非課税で保有でき、途中で売却して現金化することも可能です。
- 新NISAの積立額や銘柄の変更はいつからできますか?
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たとえば現在、つみたてNISAで月額33,333円を積立買付をしている場合は、何もしなければ、現在と同じ積立額と銘柄が新NISAでも買付されます。ただし、新NISAの「つみたて投資枠」では月額10万円まで積立可能になることから、月額5万円に増額したり、銘柄を変えたりしたい場合は、設定変更をする必要があります。
2024年1月からクレカ積立を始める場合は、SBI証券は11月19日(日)~12月10日(日)、楽天証券は11月13日(月)~12月12日(火)の間に設定変更をしておきましょう。
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